Web3からヘルスケアへ — 私たちのCSOが早期発見に賭けた理由
- 6月5日
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Web3で学んだ「アクセスの民主化」
Animoca Brandsでのキャリアは、間違いなく成功していた。ブロックチェーン、NFT、メタバース——Web3の最前線で、デジタル資産の未来を形作る仕事に携わっていた。松本Jinが担当していたのは、この業界では最も難易度の高い領域のひとつ:グローバル戦略とパートナーシップだ。世界中の市場へのアクセスを広げ、分散型所有権の仕組みを次々と実装していく。金銭的にも、キャリア的にも、恵まれた環境だった。
しかしWeb3での経験が、ひとつの根本的な問いを植え付けていた。それは「アクセスの民主化とは何か」という問いだ。
Web3の世界では、金融システムへのアクセスを民主化することが至上命題とされている。銀行口座を持たない人口、規制の厳しい地域、既存の金融インフラから排除された人々——彼らが分散型システムを通じて資産を所有し、取引でき、価値を生み出す世界。それは確かに革新的だ。
だが、ある時点で松本の頭に浮かんだ質問は単純にして根源的だった。「では、人間にとって最も重要なデータとは何か」
金銭価値よりも大きなもの
暗号資産では金融価値を生み出せる。ヘルスケアでは取り戻せないものを取り戻せる——命を返せる。
この言葉に、転身の全てが凝縮している。
Web3でいかに革新的なシステムを構築しても、それが生み出すのは金銭的な価値だ。有意義だし、重要だし、社会を変える力を持っている。しかし一度失われた健康、発見が遅れた疾患、そして最終的には命——こうした現実は金銭では代替不可能だ。
松本が気づいたのは、人間にとって本当に「アクセスの民主化」が必要な領域は、むしろヘルスケアだということだ。
Web3で学んだ「アクセスの民主化」というビジョンは、実はヘルスケアの領域にこそ、より緊急に、より広範に適用される必要がある。
スマートフォンが医療機器になるとき
EYE TELLへの転身は、キャリアの転換というより、価値観の一貫性を追い求めた結果だ。
EYE TELLが実現しようとしているのは、正にアクセスの民主化である。スマートフォンのブラウザだけで、30秒で、追加のハードウェアなしに、瞳孔を解析して6つの疾患と全身バイタルを早期に検知できる。これは医療検査の領域における根本的なアクセス革命だ。
高価な検査装置、医療機関への移動、予約待機——こうした障壁が取り払われる。特に発展途上国、医療インフラが脆弱な地域、日常が多忙な人々にとって、この変化は文字通り「命に関わる」。疾患は発見が早いほど、治療の選択肢は広がり、予後は改善される。EYE TELLの技術は、その早期発見の機会を民主化する。
グローバル戦略で次のステージへ
CSOとしての松本の役割も、Web3での経験とリンクしている。グローバルなパートナーシップ構築、市場参入戦略、投資家関係。これらは、EYE TELLが世界規模でアクセスを広げるために不可欠な領域だ。
Web3で培った「分散型ネットワークの構築」「多地域での同時展開」「ステークホルダーとの信頼構築」といったスキルセットは、ヘルスケア領域でも全く同じように機能する。むしろ、生死に関わるヘルスケアの領域では、これらのスキルはより高い信頼と責任感を要求される。
Web3を離れた決断は、技術領域の転換ではなく、同じ理念を「より重要な問題」に向け直すことだった。アクセスの民主化という信念は変わらない。ただ、その先にある価値——金銭ではなく、命——が異なるのだ。
早期発見への賭け
EYE TELLが目指す未来は、予防医療の民主化そのものだ。検査機器や医療アクセスに恵まれた層だけが早期発見の恩恵を受ける時代から、世界中の誰もが自分のバイタルサインと向き合える時代へ。
その転機を作るために、松本はWeb3での地位を後にした。成功しているキャリアを捨てるのは容易ではない。しかし、真の「アクセスの民主化」がどこにあるのかを知った時、選択肢は一つしかなかった。
今、CSOとして進めるグローバル戦略も、その根底にある問いは同じ——人類の半数以上が早期発見の機会から遠ざけられている現実を、どうやって変えるのか。EYE TELLの技術は、その答えの一部になるだろう。





