空襲警報の鳴るリヴィウへ — 私たちが瞳スキャンを戦地に持ち込んだ理由
- 6月7日
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紛争地帯でこそ、早期発見の価値がある
2025年から2026年にかけて、Humanity Visionのチームはウクライナのリヴィウを訪問した。日本外務省の危険情報レベルは2~3。空襲警報が鳴る地域への渡航は、通常であれば躊躇する判断だ。しかし私たちは、あえてその決断をした。
理由は単純だ。医療インフラが整わない場所にこそ、EYE TELLは必要とされる。
決断の背景:医療の崩壊と技術の機能
紛争が長期化するウクライナでは、医療システムが機能不全に陥っている地域も少なくない。病院は攻撃の対象になり、医療従事者は不足し、診断機器は入手困難だ。こうした環境では「早期発見」という概念そのものが、失われかけている。
EYE TELLに必要なのはスマートフォンだけだ。電源さえあれば、ブラウザを通じて瞳孔を解析し、6つの疾患と全身バイタルを30秒で検知できる。重い医療機器も、複雑な施設設定も不要。これは、まさに紛争地帯が求める技術の形だった。
「リヴィウは比較的安全だと言われながら、警報が2回鳴った」
滞在中、私たちはその現実に直面した。比較的安全とされるリヴィウでさえ、空襲警報は容赦なく鳴る。その音が鳴るたびに、このミッションの本質が鮮明になった。安定した医療体制の下では当たり前だった「早期発見」が、ここではどれほど貴重か。
ミッション実行:パートナーシップの構築
リヴィウ滞在中、チームは地元の医療従事者へのデモンストレーションを実施した。血液検査や精密検査が難しい環境だからこそ、スマートフォンでの瞳孔解析という手段は、彼らの目を大きく広げさせた。
この訪問を通じ、Humanity VisionはウクライナのリハビリテーションNGO「UNBROKEN」とのMOU(覚書)を締結した。単なるデモではなく、実装への道のりが始まったのだ。
これらの特性は、戦地の医療従事者にとって、確実に実用的だった。
早期発見の価値が最大化される時代へ
医療システムが比較的安定している国では、早期発見は「望ましい」とされることが多い。しかし、システムが崩壊している環境では、早期発見は「生死を分ける」判断基準そのものになる。限られた医療資源の中で、本当に治療が必要な患者を見つけることが、すべてを決める。
EYE TELLはFDA De Novo申請中の検査・早期発見デバイスである。治療デバイスではない。だからこそ、治療インフラが限定的な場所でも、その価値は失われない。むしろ、そこでこそ最大化される。
危険を承知の上で、私たちが戦地に向かった理由はここにある。医療が最も必要とされる場所で、最もシンプルで効果的な技術を届けること。その使命実証が、今リヴィウで始まっている。
空襲警報が鳴る中での瞳孔スキャン。それは決して冒険譚ではなく、予防医療とデジタルヘルスの未来を示す、一つの実例なのだ。





